「加盟金200万円を払って、本当に元が取れるのか」
そう迷ったまま説明会に行くと、示された成功事例の数字が現実的なのかどうかを判断できません。
結論から言います。IBJ加盟店で失敗する最大の原因は、集客スキルの不足そのものよりも、「平均的な相談所がどのくらいの規模なのか」を知らないまま資金計画を組んでしまうことです。
IBJは東証プライム上場企業(証券コード6071)で、加盟店に関する数字を決算資料で公開しています。そこから計算すると、1相談所あたりの平均会員数は約22名、年間の成婚組数は約4.4組。この水準を出発点にしなければ、加盟金が高いのか安いのかも、月100万円が現実的なのかも判断できません。
本記事は口コミや体験談ではなく、IBJの公開IR・公式料金表・省庁の一次資料だけを根拠に、加盟前に確認すべき数字と法律を整理しました。
- IBJの公開データから計算した「1相談所あたりの実力」
- 公式料金表にもとづく加盟金・ランニングコストの正確な内訳
- 加盟前に必ず確認したい2つの法律(特定商取引法・独占禁止法)
- 本部へ確認すべき10項目のチェックリスト
IBJで結婚相談所を開業して失敗する原因
IBJフランチャイズ加盟しても失敗する原因とは

失敗の主因は、集客力そのものより平均値を知らないまま立てた資金計画にあります。想定した売上が立たない期間に耐えられず、広告を止めた時点で流入が途絶えるからです。
IBJは四半期ごとに加盟店に関する主要指標を公開しています。まずはこの公開数値を確認し、そこから「平均的な相談所の姿」を逆算してみます。
【独自試算】公開IRから見る1相談所あたりの実力
IBJ「2025年12月通期 決算説明資料」に記載された数値は次のとおりです。
| 項目 | 2024年12月末 | 2025年12月末 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 結婚相談所数 | 4,502社 | 4,766社 | +5.9% |
| IBJ登録会員数 | 94,167名 | 104,859名 | +11.4% |
| 成婚組数(通期) | 16,398組 | 20,970組 | +27.9% |
| 新規開業件数(通期) | 964件 | 874件 | −9.3% |
出典:株式会社IBJ 2025年12月通期 決算説明資料(東証プライム 6071)
この数字を相談所数で割ると、加盟前に知っておくべき平均像が出てきます。
| 指標 | 計算式 | 結果 |
|---|---|---|
| 1相談所あたり平均会員数 | 104,859名 ÷ 4,766社 | 約22.0名 |
| 1相談所あたり年間成婚組数 | 20,970組 ÷ 4,766社 | 約4.4組(月0.37組) |
| 1相談所がIBJに支払う年間平均額 | 加盟店事業売上38.2億円 ÷ 4,766社 | 約80万円 |
もう一つ、見落とされがちな数字があります。2025年の新規開業は874件でしたが、相談所数の純増は4,766社−4,502社=264社にとどまります。差し引き約610社が、同じ年のうちに退会または閉鎖した計算になります。2024年末の4,502社に対して約13.6%です。
※注意:IBJが公表しているのは相談所数と新規開業件数であり、退会数そのものではありません。法人内での店舗統廃合や集計定義の変更が含まれる可能性があるため、あくまで公開値からの推計値です。
それでも「加盟店は毎年増えています」という説明の裏側で、新規開業のかなりの部分が入れ替わっているという構図は押さえておくべきでしょう。
公平に付け加えると、会員数の伸び(+11.4%)が相談所数の伸び(+5.9%)を上回っているため、1相談所あたりの平均会員数は2024年の約20.9名から2025年の約22.0名へ増えています。市場が縮んでいるわけではありません。問題は、平均のままでは専業として成り立ちにくいという点にあります。
IBJ結婚相談所の加盟金の相場

IBJの加盟金は個人契約プランで200万円(税抜)。研修費・保証金・ロイヤリティはいずれも0円で、月々の固定費はネットワーク月会費が中心です。
IBJ公式サイトに掲載されている費用は次のとおりです(2026年9月時点、いずれも税抜)。
| 項目 | 個人契約プラン | 法人契約プラン | 法人エンタープライズプラン |
|---|---|---|---|
| 加盟金 | 200万円 | 400万円 | 700万円 |
| 研修費 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 保証金 | 0円 | 0円 | 0円 |
| ロイヤリティ | 0円 | 0円 | 0円 |
| IBJネットワーク月会費 | 15,000円 + 3,800円 × カウンセラー人数 | 同左 | 同左 |
| 新規会員データ登録費 | 2,000円 | 同左 | 同左 |
| 会員活動費 | 750円 | 同左 | 同左 |
出典:IBJ公式「IBJの結婚相談所開業資金とフランチャイズ(FC)の比較」
分割払いは3〜84回から選択でき、頭金は11万円から。月々の支払いは初回39,061円〜、2回目以降34,100円〜とされています。開業時に必要な「立上支援研修(6ヶ月)」の費用は加盟金に含まれます。
加盟金の「安さ」だけで判断しない
店舗も在庫も持たずに始められるため、飲食業や物販のフランチャイズと比べて初期投資が小さいのは事実です。ただし、実際の収支を左右するのは加盟金に含まれていないコストのほうです。
- 広告費(リスティング広告、SNS広告)— 継続的に必要
- ホームページの制作・改善費
- お見合い立ち会い時の交通費・カフェ代などの実費
- 記帳・確定申告にかかる実務コスト
- 特定商取引法に対応した契約書面・概要書面の準備(後述)
とくに広告費は「削れる費用」ではなく「止めると売上が止まる費用」です。加盟金を分割にして手元資金を広告に回す設計のほうが、初年度は安全に働くケースがあります。
IBJ開業資金を計画的に準備

加盟金とは別に、売上が立たない期間を賄う運転資金を先に確保することが、資金ショートを避ける唯一の条件です。
前述の「1相談所あたり年間成婚組数 約4.4組」という数字は、成婚料だけでは初年度の生活費を賄えないことを意味します。入会金と月会費の積み上げが軌道に乗るまでの数か月から1年を、手元資金か融資で埋める前提で計画してください。
創業融資は「新規開業・スタートアップ支援資金」
日本政策金融公庫の国民生活事業では、創業期向けに「新規開業・スタートアップ支援資金」が用意されています。公式サイトによれば、新たに事業を始める方または事業開始後に税務申告を2期終えていない方は、次の条件で利用できます。
- 原則として無担保・無保証人
- 利率を一律0.65%引き下げ(雇用の拡大を図る場合は0.9%)
- 返済期間は設備資金20年以内、運転資金は原則10年以内(いずれも据置期間5年以内)
融資限度額と利率は改定されます。申込前に必ず公庫の公式ページで最新の条件を確認してください。なお、かつての「新創業融資制度」「女性、若者/シニア起業家支援資金」は現行制度に整理されているため、古い解説記事の数字をそのまま信じないよう注意が必要です。
IBJで開業した先輩たちの口コミから学ぶ注意点

口コミは「良い・悪い」で読むものではありません。その人の前提条件(開業時期・エリア・専業か副業か・広告予算)が自分と一致しているかで読み分けます。
「IBJ 開業 口コミ」「IBJ フランチャイズ 評判」で検索すると、加盟オーナー本人が書いたブログやnoteが多数見つかります。当事者の一次情報として価値がありますが、次の3点が書かれていない口コミは、自分の判断材料にはなりません。
- 開業時期 — IBJの料金体系やシステムは改定されています。数年前の記事の金額をそのまま前提にできません
- エリア — 都市部と地方では会員の集まり方も競合密度も違います
- 専業か副業か、広告にいくら使っているか — 「集客できた」の裏に月いくらの広告費があるかで再現性が変わります
口コミを読むときのチェックポイント
- 「集客できた」の裏に、広告費がいくらかかっているか書かれているか
- 成婚数が累計なのか年間なのか明示されているか
- 書き手が加盟の紹介報酬を受け取る立場かどうか(利害関係の有無)
- 撤退した人の声も探したか
最後の項目がとくに重要です。撤退した加盟店は発信をやめるため、ネット上の口コミは構造的に成功者側へ偏ります。いわゆる生存者バイアスです。前述のとおり公開値からは年間600社規模の入れ替わりが推計される以上、見えている声だけで判断しない姿勢が要ります。
IBJのフランチャイズ加盟の評判は?

会員ネットワークの規模は他社比で明確に優位。一方で、加盟店の増加がそのまま競合環境の厳しさになるという裏返しがあります。
会員104,859名・加盟相談所4,766社(2025年12月末)という規模は、国内の結婚相談所連盟として最大級です。他社の加盟店に所属する会員とも成婚を狙えるため、単独運営の相談所にはない優位性があります。
ただし同じネットワークに4,766社がいるということは、同一の会員データベースを4,766社が共有しているということでもあります。会員から見れば「どの相談所を選んでも紹介される相手は似ている」状態になりやすく、相談所側は紹介できる人数ではなく、カウンセリングの質や特化領域で選ばれる必要があります。
差別化しないまま料金を下げる方向に進むと、粗利が削れて広告費が出せなくなり、集客が止まる。これが最も多い失敗の形です。集客が止まる仕組みについては必要な問い合わせ数を公開データから逆算した記事でも整理しています。
なお、IBJ以外の選択肢も含めて検討している場合は、結婚相談所連盟の比較5社|加盟金60万〜700万の差はどこから?で、主要連盟の加盟金・月会費・会員数を公式データだけで比較しています。IBJの加盟金が他社と比べて高い理由も、会員ネットワークの作り方の違いから説明しています。
IBJに加盟して失敗しない方法を解説

加盟前に「平均との差をどこで作るか」を1つだけ決めておくこと。これが最も再現性の高い失敗回避策です。
平均は会員22名・年間成婚4.4組。ここから抜け出すには、量(会員数を増やす)か質(成婚率を上げる)のどちらかで平均を上回る必要があります。両方を同時に狙うと、広告費も対応工数も足りなくなります。
| 方向性 | 必要になる前提 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 量で勝つ | 広告に継続投資できる資金と、問い合わせ対応を仕組み化する設計 | マーケティングに資金と時間を割ける人 |
| 質で勝つ | 対象を絞り込み(年代・職業・地域・再婚など)、その層に届く発信を続ける | 特定の層と接点や実体験がある人 |
どちらを選ぶにせよ、分かれ目は開業前に「自分は誰のための相談所か」を一文で言えるかです。ここが曖昧なまま広告を出すと、費用だけが出ていきます。
なお、結婚相談所の開業そのものに国家資格は必要ありません。資格の要否と、資格より優先して準備すべきことは結婚相談所の開業に資格は必要?経営成功の秘訣も解説にまとめています。
加盟前に必ず確認したい「法律」のこと
費用や集客の話は多くの記事が扱っています。一方で、開業する側にどんな法的義務があるのか、本部にどこまで情報開示を求められるのかは、ほとんど触れられていません。ここを知らないまま契約すると、あとから資金繰りの前提が崩れます。
結婚相手紹介サービスは特定商取引法の規制対象
結婚相手紹介サービスは特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当し、開業する側に書面交付などの義務が生じます。
消費者庁の特定商取引法ガイドによれば、特定継続的役務提供の対象は7つの役務。結婚相手紹介サービスは期間2か月超・金額5万円超の契約が対象になります。多くの結婚相談所の標準的な契約は、この条件に該当します。
| 義務 | 内容 |
|---|---|
| 概要書面の交付(法42条) | 契約前に、役務内容・対価・支払方法・提供期間・クーリングオフ・中途解約等を記載した書面を渡す |
| 契約書面の交付(法42条) | 契約後、遅滞なく同様の事項を記載した書面を渡す |
| 誇大広告の禁止(法43条) | 著しく事実に相違する表示、実際より著しく優良・有利と誤認させる表示を禁止 |
| 財務書類の閲覧対応(法45条) | 前払方式で5万円超の場合、貸借対照表等を用意し、消費者の求めに応じて閲覧できるようにする |
| クーリング・オフ(法48条) | 書面を受け取った日から8日以内は、無条件で契約を解除できる |
| 中途解約の清算(法49条) | 役務提供前は定額の限度額、開始後は提供済みの対価に政令で定める損害額の上限を加算した範囲でのみ請求できる |
つまり、入会金を受け取ったあとでも8日以内なら返金の対象になり、途中解約時に請求できる違約金にも上限があるということです。「入会金が入ったから今月は回る」という前提で資金繰りを組むと、想定した入金が入らない事態が起こります。
※実際の書面作成や解約時の清算計算は個別の契約条件によって変わります。契約書面のひな形は、行政書士や弁護士など専門家に確認することをおすすめします。
結婚相談所フランチャイズには「法定開示書面」の義務がない
中小小売商業振興法にもとづく法定開示書面の交付義務は小売業・飲食業のフランチャイズに限られ、サービス業である結婚相談所は対象外です。
中小企業庁の説明によれば、法定開示書面の交付義務がある「特定連鎖化事業」は、中小小売商業者を主な加盟店とする小売業(飲食を含む)が対象とされています。結婚相談所はこれに当たらないため、本部に法律上の情報開示義務はありません。
出典:中小企業庁「特定連鎖化事業(フランチャイズ)について」
これは「本部が情報を隠している」という話ではありません。法律が自動的には守ってくれない領域なので、加盟する側が自分から聞く必要がある、という意味です。
「予想売上」の示し方には独占禁止法上のルールがある
公正取引委員会のガイドラインは、小売・外食に限らずサービス業のフランチャイズも対象とし、根拠のない予想売上の提示を問題視しています。
公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(令和3年4月28日改正)は、フランチャイズが「従来の小売業及び外食業のみならず、各種のサービス業など広範な分野において活用され」ている実態を前提としています。
同ガイドラインは、本部が加盟者を募集する際に開示することが望ましい事項として次を挙げています。
- 商品供給の条件(仕入先の推奨制度など)
- 事業指導の内容・方法・回数・費用
- 加盟時に徴収する金銭の性質・金額・返還条件
- ロイヤルティの額・算定方法・徴収の時期
- 決済方法、融資の利率など
- 損失補償や経営支援の有無と内容
- 契約期間、更新・解除・中途解約の条件
- 同一地域への出店(ドミナント)の可否と計画
出典:公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」
さらに予想売上・予想収益については、実際には達成できない額や達成が困難な額を示すことは「ぎまん的顧客誘引」に当たりうるとされ、類似の環境にある既存店舗の実績など合理的な根拠が必要とされています。
ネット上で見かける「月100万円」「年収1,000万円」という数字は、それがどの前提条件(会員数・成婚率・広告費・エリア・開業年)から出た試算なのかが示されていなければ、判断材料になりません。この記事の後半で示す試算も同じで、保証ではなくモデルケースとして読んでください。
IBJで結婚相談所開業失敗事例と成功術
IBJ結婚相談所廃業のリスクを理解

廃業の引き金は売上未達そのものではなく、運転資金が尽きて広告を止めた瞬間です。
前述のとおり、公開値から推計すると2025年には600社規模の入れ替わりが起きています。全国の事業環境を見ても、2025年版中小企業白書によれば、2023年度の開業率3.9%に対して廃業率も3.9%。2024年の休廃業・解散は約7万件、倒産は10,006件でした。
注目すべきは、休廃業・解散した企業の51.1%(2024年)が黒字のまま廃業しているという点です。赤字だから辞めるとは限りません。手元資金が続かない、あるいは続ける理由がなくなったときに事業は終わります。
出典:中小企業庁「2025年版 中小企業白書」第1部第1章第8節 開業、倒産・休廃業
公式の「事業継続率97%」はどう読むか
IBJ公式サイトには「事業継続率は97%」と表示されています。加盟を検討するなら、この数字は算出根拠まで確認しておきたい項目です。
公式サイトの注記によれば、この97%は2021年〜2023年の新規開業社数2,722社のうち、退会社が84社だったという割合から算出されています。
一方、この記事の冒頭で決算説明資料から計算したとおり、2025年は新規開業874件に対して加盟相談所数の純増が264社。差の約610社が同じ年に減っている計算になります。
| 公式サイトの「事業継続率97%」 | 決算資料からの推計 | |
|---|---|---|
| 対象 | 2021〜2023年に新規開業した相談所 | 開業年を問わない全加盟相談所 |
| 期間 | 3年間の累計 | 2025年の1年間 |
| 数値 | 2,722社中84社が退会(約3.1%) | 新規開業874件に対し純増264社 → 約610社の減少 |
数字が大きく違って見えますが、これは一方が誤りという話ではありません。前者は「新しく開業した相談所が短期間で辞めた割合」、後者は「開業何年目かを問わない全加盟店の年間増減」であり、母集団も観測期間も違います。加盟金を払った直後の相談所は、そもそも数年は辞めにくいという事情もあります。
加盟を検討する側にとって大事なのは、どちらの数字を信じるかではありません。「継続率97%」を「加盟店全体の生存率」と読み替えないことです。何年も運営してきた相談所がどのくらいの割合で退会しているのかは、この数字からは読み取れません。
だからこそ、後述の「加盟前に本部へ確認すべき10項目」の5番——直近1年の新規開業件数と、同じ期間の退会・閉鎖件数——は、必ず数字で確認してください。継続率の表示を見たときは、分母が何で、期間がいつからいつまでかをセットで確認する習慣をつけると、判断を誤りません。
出典:IBJ公式「結婚相談所の開業・独立・起業ならIBJ」(2026年9月確認)
結婚相談所で起きやすいのは次の循環です。
広告費を削る → 問い合わせが減る → 入会が減る → 現金が減る → さらに広告を削る。
一度この循環に入ると、自力での回復は難しくなります。防御策は一つで、3か月ごとに予算と実績を突き合わせ、資金の減り方を早い段階で可視化することです。収益構造そのものの考え方は儲からないと言われる構造を検証した記事でも扱っています。
IBJで開業すると年収はいくらくらい?

年収は会員数を平均の何倍にできるかでほぼ決まります。平均的な相談所(会員22名)の規模のままでは、専業の年収水準には届きません。
結婚相談所の売上は、次の3つの合計です。料金は相談所ごとに自由に設定できるため、金額を断定することはできません。代わりに、自分の料金設定を当てはめて計算できる式として示します。
年間売上 =(入会金 × 年間入会数)+(月会費 × 会員数 × 12か月)+(成婚料 × 年間成婚組数)
ここに、IBJの公開データから算出した平均値を代入してみてください。
- 会員数:約22名(104,859名 ÷ 4,766社)
- 年間成婚組数:約4.4組(20,970組 ÷ 4,766社)
そして支出側からは、少なくとも次が引かれます。
- IBJへの支払い:年間 約80万円(加盟店事業売上38.2億円 ÷ 4,766社。あくまで全加盟店の平均)
- 広告費(止めると集客も止まる固定的な費用)
- ホームページ運用費、通信費、交通費など
この式に自分の料金を入れて計算すると、平均のままでは専業として成立しにくいことが見えてくるはずです。年収1,000万円といった数字が独り歩きしがちですが、それは平均の何倍の規模を指しているのかを必ず確認してください。
※上記は公開データにもとづく計算方法の提示であり、収益を保証するものではありません。
IBJに加盟店して「月100万円」を達成するプラン

月100万円は平均の2〜3倍の会員数を維持して初めて見えてくる水準です。到達には、広告への継続投資か、強い特化のどちらかが欠かせません。
仮に月会費1万円で会員50名なら、月会費だけで月50万円。ここに入会金と成婚料が乗って月100万円に近づいていきます。会員50名は、平均22名の約2.3倍です。
注目すべきは、年間成婚組数の平均が4.4組にとどまる点です。成婚料が1組30万円だとしても年間132万円。成婚料は収益の柱にならず、月会費で積み上がる会員数を確保できるかどうかが実質的な条件になります。
会員50名を維持するには、退会分を差し引いて毎月コンスタントに新規入会を獲得し続ける必要があります。ここで前述の「量で勝つか、質で勝つか」の設計が効いてきます。
※この試算も前提を置いたモデルケースです。公正取引委員会のガイドラインが指摘するとおり、根拠なく提示された予想収益は判断材料になりません。本部の説明を受ける際は「その数字はどの相談所の、いつの、どんな条件の実績か」を必ず確認してください。
加盟前に本部へ確認すべき10項目

法定の開示義務がない以上、公正取引委員会のガイドラインが挙げる項目を、自分から書面で求めるのが最も確実です。説明会や個別面談の前に、この10項目をそのまま質問リストにしてください。
- 加盟金・月会費以外に発生する費用の全項目と金額
- 契約期間、更新条件、中途解約時の違約金の有無と金額
- 解約した場合、会員データはどう扱われるか
- 提供される研修・サポートの内容、回数、期間、追加費用の有無
- 直近1年の新規開業件数と、同じ期間の退会・閉鎖件数
- 自分が開業予定のエリアにある既存加盟店の数
- 同一エリアへの新規加盟を制限する仕組みがあるか(ドミナント)
- 提示された収益モデルの前提条件(会員数・成婚率・広告費・地域・開業年)
- その収益モデルは実在する加盟店の実績にもとづくものか
- 特定商取引法の概要書面・契約書面のひな形を提供してもらえるか
とくに5番が要です。新規開業件数だけを示されても、同じ期間にいくつの相談所が閉じたのかが分からなければ判断できません。この記事の冒頭で公開値から推計したのも、まさにこの数字でした。
回答は口頭ではなく、書面かメールでもらうことをおすすめします。あとから「言った・言わない」になりません。誠実な本部であれば、書面での回答を断る理由はないはずです。
よくある質問
- IBJの加盟金はいくらですか?
-
IBJ公式サイトによると、個人契約プランの加盟金は200万円(税抜)です。法人契約プランは400万円、法人エンタープライズプランは700万円で、いずれも研修費・保証金・ロイヤリティは0円とされています。分割払いは3〜84回から選べ、頭金は11万円からです(2026年9月時点)。
- IBJに加盟すれば集客はできますか?
-
加盟だけで集客できるとは限りません。IBJの2025年12月通期決算説明資料をもとに計算すると、1相談所あたりの平均会員数は約22名です。同じ会員ネットワークを4,766社が共有しているため、自分の相談所を選んでもらう理由を別に用意する必要があります。
- IBJの加盟店はどのくらい撤退していますか?
-
IBJは退会件数を公表していません。ただし公開値から推計すると、2025年の新規開業874件に対して相談所数の純増は264社で、差の約610社が同じ年に退会または閉鎖した計算になります。集計定義の変更などが含まれる可能性があるため、あくまで目安の数値です。
- 結婚相談所を開業するのに資格や許可は必要ですか?
-
開業自体に国家資格は必要ありません。ただし結婚相手紹介サービスは特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当するため、概要書面・契約書面の交付、クーリング・オフへの対応、誇大広告の禁止といった義務が生じます。書面の作成は専門家への確認をおすすめします。
- フランチャイズ本部から法定の情報開示は受けられますか?
-
中小小売商業振興法にもとづく法定開示書面の交付義務は小売業・飲食業のフランチャイズが対象で、サービス業である結婚相談所は対象外です。公正取引委員会のガイドラインが開示を望ましいとする8項目を、加盟する側から確認する必要があります。
IBJで結婚相談所開業失敗まとめと成功術
この記事で最も大事なのは、IBJの公開データから計算した「1相談所あたり平均会員22名・年間成婚4.4組」という現実の水準です。ここを出発点にすれば、加盟金200万円が高いのか安いのかも、月100万円が現実的なのかも、自分の条件で判断できるようになります。
今日できる最初の一歩は、この記事の「加盟前に本部へ確認すべき10項目」をコピーして、説明会や個別面談の質問リストにすることです。とくに5番(直近1年の新規開業件数と退会・閉鎖件数)は、本部の説明が数字で返ってくるかどうかで、その後に得られる情報の質が大きく変わります。
法律が自動的には守ってくれない領域だからこそ、聞いた側が持っている情報の量が、そのまま結果を分けます。加盟する・しないをまだ決めなくて構いません。まずは質問リストを持って、話を聞きに行くところからです。
本記事は、IBJの公開IR資料・公式サイトおよび省庁の一次資料にもとづき作成しています。数値の出典は本文中に明記しました。運営者については運営者プロフィールをご覧ください。
自己資金と融資以外に、返済不要の制度が使えないかも確認しておく価値があります。助成金と補助金の違いと使える制度をまとめた記事で対象になりうる制度を整理しました。
失敗例を読んだうえで、数字を自分で確かめる
ここまで読んだのは、うまくいかなかった側の話です。
判断するには、続いている側の条件も同じ粒度で見る必要があります。IBJ公式サイトで確認できる数字を置いておきます(2026年9月11日確認)。
- 事業継続率97%:2021〜2023年の新規開業2,722社のうち退会84社。業界全体の廃業率ではなく、IBJの新規開業コホートの退会率です
- 96.9%が未経験スタート:2023年実績。未経験で始めた人の割合であって、成果や継続を示す数字ではありません
- 加盟金は個人200万円:税抜。研修費・保証金・ロイヤリティは0円。分割なら頭金11万円〜、3〜84回から選べます
- 月会費15,000円+3,800円×カウンセラー数:税抜。無店舗で始めるなら、固定費はこれと広告費だけです
続けられるかどうかを決めるのは、この数字よりも自分の集客力と手元資金です。
無料の相談会では「加盟店が最初の10名を集めるまで、平均でどのくらいかかっているか」を聞いてみてください。その質問に平均値で答えられるかどうか自体が、判断材料になります。

